従来と
最新の設定方法

従来の防爆エリア設定方法

従来は、基本的には労働安全衛生総合研究所技術指針「ユーザーのための工場防爆設備ガイド」に従って防爆エリアを設定することになっていますが、より具体的かつ明確に定められている四日市市危険物規制審査基準など地方自治体の基準によって設定する事が多くなっています。
これらの基準はAPI RP500, or 505(American Petroleum Institute)やNFPA497(National Fire Protection Association)などがベースになっており、いずれも下図のようなサンプル図のように、可燃性の危険物であれば、その蒸気圧、分子量、漏洩の可能性に関わらず、一律に防爆エリアを設定するものです。

API RP500のサンプル図
NFPA497のサンプル図

最新の設定方法(防爆ガイドラインおよびIEC Ed3.0)

「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン」(防爆ガイドライン)および、「IEC 60079-10-1 Edition 3.0」(IEC Ed3.0)では、リスクを評価する基準(漏洩口の大きさや風などの換気程度の示唆値)が提示されており、漏れ量や拡散の程度を定量化する事によって、個々のケースについてリスクを評価する方法に変わりました。

防爆エリア設定基準の最近の動向

2015年
IEC 60079-10-1 Edition 2.0(IEC Ed2.0)発行。定量的なリスク評価に基づく危険区域の精緻な設定が可能となる。
2019年
経済産業省がIEC Ed2.0を基に、防爆ガイドラインを発行。消防庁より、消防危第84号「危険物施設における可燃性蒸気の滞在するおそれのある場所に関する運用について」を各都道府県消防に通達。
2020年
最新版 IEC Ed3.0発行。(IEC Ed2.0はこの時点で無効。)
精緻なリスク評価の概念図
精緻なリスク評価の概念図

個々のケースによるリスク評価の結果、危険区域か非危険区域かの判定が可能となり、結果として非危険区域の範囲が広くなることが多くなりました。危険区域と判定された場合にはその範囲(危険距離)もグラフから読み取ることができます。

換気度

換気度グラフ

危険距離

危険距離グラフ

出典:経済産業省「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン」(2020年1月)

従来と最新の設定方法による危険区域の違い

屋外施設

従来は可燃性の危険物であれば、その蒸気圧、分子量、漏洩の可能性に関わらず、ほぼ一律に危険区域が設定されていました。そのためプラント設備のある区画全体を危険区域として設定することがほとんどでした。
一方、最新の設定方法では個々のケースについて精緻なリスク評価を行うことにより、危険区域か非危険区域かの判定が可能となり、結果として非危険区域が広くなることが多くなりました。

従来の危険区域図

従来の危険区域図

最新の設定方法による危険区域図

最新の設定方法による危険区域図

従来と最新の設定方法による危険区域図の比較

  • 第一等級放出源となるベントでは、揮発性の高い物質(上図ではガソリンなど)で危険区域が残るが、灯油や軽油になれば、一部のベントで危険区域がなくなる。
  • 第二等級放出源では、ガソリンの配管ラインのバルブ、ポンプなどの周辺で危険区域となるが、その周辺の危険距離内で収まり、防油堤全体が危険区域とはならない。非危険区域が広く確保されている。
  • ローリー出荷場や桟橋でも危険区域はあるものの、従来の設定方法より危険区域は縮小している。

屋内施設

従来の設定方法

屋内施設 従来の設定方法

従来は屋外同様に、ほぼ一律に危険区域が設定されており、施設全体が危険区域となっていました。そのため、非防爆のスマートフォン・タブレットは持ち込みできず、大型ロボットなどの設置も不可となっていました。

最新の設定方法

リスク評価後
01 リスク評価後

屋外同様に、個々のケースについて精緻なリスク評価を行うことにより、非危険区域の範囲が広くなることが多くなりました。

換気見直し
02 換気の見直し(屋内全域)

屋内では屋外と異なり換気装置があるため、その能力を増強し換気速度を上げることが可能です。残存した危険区域を低減、さらには屋内全域を非危険区域とすることが可能となります。

局所排気の設置
03 換気の見直し(局所排気の設置)

危険区域が局所的な場合には、その危険箇所周辺に局所排気装置を設置し、局所的に換気速度を上げ、非危険区域とすることが可能です。

非危険区域化とするための事例

最近では、危険区域の再設定や低減のみならず、非危険区域とするためのご相談を受けることが非常に多くなっています。

実績紹介|非危険区域化の事例

  • 屋内では、換気能力の増強や冗長化など、排気システムの要件(局所排気システムとの併用を含む)を見直すことにより、全体を非危険区域とすることは十分可能です。
  • 物性データに基づいて計算を行うため、取り扱う流体によっては、ほとんどのエリアが非危険区域となるケースもあります。
  • 油槽所や給油施設などにある防油堤内は、従来の設定では、全体が危険区域になっていますが、フランジ、バルブ、ポンプやベントなどの周り、ピット部分を除き、堤内のほとんどが非危険区域となるケースもあります。
  • キャンドポンプやベローズタイプのバルブを用いるなど、漏洩が起こらないような機器を採用することで非危険区域とすることが可能です。