輻射熱(タンク火災・漏洩火災)

輻射熱シミュレーションについて

弊社は、化学プラント等における災害の主たる初期事象である「危険物質の漏洩」に着目し、漏洩液体の広がり、蒸発、ガス拡散に至る一連の現象を解析するシミュレーションプログラムを開発しました。

計算方法の種類

輻射熱の計算方法には下表の通りさまざまなものがあり、弊社のプログラムでは、いずれの方法でも計算できます。最も実用的な方法としては、NFPA Handbookに記載されている「Mudan 法」を推奨しています。

NISTIR6546以外の方法では輻射発散度が炎の高さ全体の平均値としています。
油面に近い下部は赤々と燃え、その上は煙が多く時々赤い炎がちらつく程度になっているのが実際の炎の状態です。NISTIR6546ではこの明るい部分をLuminous Bandと呼び、そこの輻射発散度は油の種類にかかわらずほぼ100[kW/m2]とし、その部分の高さを算出する式を示しています。
タンク直径の数倍離れた箇所の輻射強度は、平均輻射発散度を用いた方法でも問題ありませんが、タンクに近い所ではLuminous Bandの考え方が実際に即しているのではないかと考えられます。

横スクロールできます
項目 コンビナート
保安防災技術指針
KHK-E007-1974
石油コンビナートの
防災アセスメント指針
(消防庁特殊災害室)
NISTIR6546
(米国国立標準技術研究所)
Mudan法
(NFPA Handbook)
風の条件 無風条件のみ 無風条件のみ 無風および有風 無風および有風
受熱面 垂直面のみ 垂直面のみ 「最大受熱面角度」、「垂直」または「水平」を選択可能 「最大受熱面角度」、「垂直」または「水平」を選択可能
炎の高さ 1.5D 1.5D Luminous Bandの高さをタンクの直径と燃料の物性から計算 タンクの直径と燃料の物性から計算(NISTとは異なる式)
輻射発散度 「対象燃料の実測値」または「指針に規定の計算式」 「対象燃料の実測値」
なお、輻射発散度に「低減率」を乗じることを規定(計算値が実際と大きくかけ離れるため、プログラムでは低減率0.3を採用)
燃料によらず「一定」 「対象燃料の実測値」または「Mudan法特有の方法で計算」
特徴 炎の高さを直径の比率で一定としているため、タンク直径が大きくなったときは炎の高さが過大評価となり、実際より大きな輻射熱計算結果となる。 低減率の考え方以外は「コンビナート保安防災技術指針KHK-E007-1974」と同じ。
輻射熱が過小評価される結果となり、どこでも安全ということになる。
消火活動を行う火災タンク近傍の輻射熱としては合理的な結果が得られる。 輻射発散度を入力でき、かつ燃料の物性により計算結果に差が出るので実用的。

計算結果(各方法による輻射強度)

直径82mのガソリンタンクおよびA重油タンクの火災ケースについて、各々の方法で計算した結果を下図に示します。
横軸はタンク中心からの距離をタンク直径の倍数で表したものとなっています。

直径82mガソリンタンク輻射熱計算結果グラフ(拡大)
直径82mA重油タンク輻射熱計算結果グラフ(拡大)
3Dビューワーで、シミュレーション結果をより「リアル」に

専用の「FMビューワー」をご活用いただければ、お手元のPCでシミュレーション結果を自由自在に操れます。「見たい場所」をピンポイントで拡大・回転できるため、従来の静止画に比べ、解析精度への理解が飛躍的に高まります。

対応: タンク火災消火 / 輻射熱計算 / 水・泡放射

詳細はFMビューワーの紹介ページにて詳しく解説しています。

FMビューワー

輻射熱シミュレーション実施例

01

タンク火災

直径72mの原油タンク火災のケース

受熱面は最大受熱面角度としています。もちろん水平又は垂直受熱面の輻射強度も可能です。右図は2つの受熱面高さにおける輻射強度マップを表示しています。輻射強度の単位は「kcal/m2/h」または「kW/m2」のどちらでも出力できます。

地上高さ1.5m

直径72mタンク火災 地上高さ1.5mにおける輻射強度

地上高さ1.5mおよび22m

直径72mタンク火災 地上高さ1.5mおよび22mにおける輻射強度
02

プロセスエリア火災

漏油プール火災のケース

下図はプロセスエリアのコンクリート床上に、10mx10mの軽油のプールを作り、それが火災になった時の輻射熱マップを表示したものです。
漏油プールは任意の場所に任意の大きさで配置可能です。受熱面高さも自由に変えられるので強い輻射熱を受ける機器の特定も可能であり、冷却散水の必要性も確認できます。

プロセスエリア漏油プール火災の輻射熱計算結果
03

三次元輻射強度

風の影響で炎が傾いているタンク火災のケース

弊社の輻射熱シミュレーションプログラムは、任意の高さ2点のみではなく、細かく受熱面高さを変えて同一レベルの輻射強度を同心円状に出すことができます。
左下図は風の影響で炎が傾いているタンク火災のケースです。風下では、地上付近での輻射強度が大きくなっていますが、タンクよりも高い位置での受熱強度は、むしろ風上のほうが大きくなっていることがわかります。風上にあるタンクの上部は予想外に強い輻射熱を受け、そこで蒸発した可燃性ガスが風下の火災に流れて引火延焼の危険性があります。風上タンクの冷却散水の必要性も検討することを推奨します。右下図は、それを真横からみた図を表しています。

シミュレーション結果

風の影響によるタンク火災三次元輻射強度シミュレーション結果

左図を真横から見た図

風の影響によるタンク火災三次元輻射強度 横からの図